大判例

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津山簡易裁判所 昭和45年(ろ)40号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕弁護人は、本件細胞土は自然の粘土を掘り出したものであつて特別な加工もしておらず、かつ有益無害であるから、薬事法第二条にいう「医薬品」にあたらない、かりに右「医薬品」にあたるとしても、憲法第二二条において何人にも職業選択の自由が保障され、同法第一三条には個人の権利を最大限に尊重すべきことが謳われており、これは本件のごとき医薬品販売についても当然適用されるものであること、他方薬事法第二四条違反行為に対して、法律は刑罰をもつて臨んでいることなどを考え合わせると、同条項にいう「医薬品」の解釈は限定的になされるべきであり、本件のごとき有益無害な医薬品の販売に対しては処罰の対象にしていないものと解すべきである旨主張するので判断するに、いうまでもなく、薬事法は、医薬品、医薬部外品等が国民の保健衛生の維持、増進に極めて深いかかわり合いを有することにかんがみ、これらすべての製造、販売、取扱い等の諸事項を適正に規制し、もつて危害の発生を未然に防止することを目的としており(同法第一条)、同法第二条第一項第二号において、「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」と規定され、その使用目的性については、必ずしも本来的に薬理作用上、何らかの効能を発揮するものであるかどうかにかかわりなく、客観的に右の使用目的性が存することをもつて足るとされるのも、何らかの薬理作用を営むものについては勿論のこと、たとえそのようなものでなくても、それらのものが社会一般に自由に製造、販売、授与されるときは、医学的知識の未熟な一般人による不適当な使用によつて多数人の生命、身体等に不測の危害を蒙らせるおそれのあることを否定し得ないことによるものであつて、これと同趣旨に出でた同法第二四条第一項を主張のように別異に解すべき理由は見出し難い。換言すれば、同条項は、憲法第一三条の本旨に基づき、公共の福祉のための必要上、規定されたものであるから、医薬品販売業を制約するところがあるとしても、これをもつて同法第二二条の職業選択の自由を侵すものとは解されない。

本件において、前掲各証拠、特に押収にかかる不思議な土説明書一五枚(昭和四五年押第三号の一)、不思議な土説明書(レッテル)一函(同号の二三)、プラスチック容器一個(同号の二九)等によると、本件細胞土が社会一般の通常人をして人の疾病の治療、予防に使用される目的性をもつものである旨認識させるに十分であるから、これが薬事法第二条第一項第二号、第二四条第一項にいう「医薬品」にあたることは明らかである。(大藤敏)

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